写真の合成

海に島を作る

土台となる写真を用意

土台となる写真です。車窓からなので窓枠が写り込んでいますし,傾いています。


傾きを修正してから切り取りをしたものです。4:3に切り抜きました。

必要があれば明るさなどの調整をしておきます。


合成部分の貼り付け

もう一つの写真から合成する部分をコピーします。

切り抜きツールを使ってもいいのですが,ここでは矩形の選択ツールを使っています。これは切り抜きツールとほぼ同じ使い方で,長方形部分を選択状態にします。

メニューから[編集]-[コピー]を選んで選択部分をコピーします。コピーはキーボード操作でもできます。メニューのコピーに Ctrl+C と書いてあるのは[Ctrl]ボタンを押しながら[C]を押すという意味です。


元の写真にもどって,メニューから[編集]-[貼り付け]を選びます。「フローティング選択領域」として貼り付けられます。

適当な位置に移動します。「フローティング」なので選択ツールのままで移動できるはずですが,できなければ移動ツールを使ってください。レイヤーにするので後からでも移動できますが,大きさや切り取り方がよいかどうかの判断のためです。不自然であればコピーからやり直します。拡大・縮小が必要になるかもしれません。


Gimpの場合,アクティブになっているレイヤーに浮遊(フローティング)している選択領域という扱いです。(このように貼り付けた画像の扱いはソフトウェアにより若干の違いがあります。)


フローティングなのでドラッグにより位置を決めてから固定するか,新しいレイヤーを作ってからそこに固定するか選択します。フローティングのままではアクティブレイヤーの変更ができません。

選択領域以外のクリック
親であるレイヤーに固定されます。
アンカーボタン
またはメニューから[レイヤー]-[レイヤーを固定]
親であるレイヤーに固定されます。
新規ボタン
またはメニューから[レイヤー]-[新規レイヤー]
新しいレイヤーを作ってからそこに固定します。
こちらだと固定してからもレイヤーごと移動できます。

フローティング部分を新しいレイヤーに固定します。山の周りの空の部分を消去したり,近景との重なりを調整するので,レイヤーにする必要があります。


山以外を消去

消しゴム

根気が必要ですが、一番わかりやすく基本です。(右図)

消しゴムなら今までに使っているので新たに覚えることはありません。今回は残す部分と消去する部分の境界がぼんやりしているので消しゴムが速いと思います。消しゴムで消したい場合は消去の完了まで読みとばしてください


選択道具を使う

しかし,この作業のためにどのソフトウェアも様々な工夫をしています。

不要なところを線でなぞって選択してまとめて消すとか、色が似ているところを選択する道具を使って消すなど、画像の条件が合えば画期的に手間が省けるものもあるので一応見ておくとよいでしょう。

あいまい選択ツールで選択して消去
塗りつぶしと同じようにクリックした部分の色(や明るさ)に近いところを選択領域とするツール。消したいところと残すところに色や明るさの差がないときれいに分かれてくれない。大変便利だが今回は使えない。
自由選択ツールで選択して消去
マウスでドラッグした範囲が選択領域となるが,境界をはずれないように長い距離をドラッグするのはかなり苦痛。この改良版が次のツール
電脳ばさみで選択して消去
境界をクリックしていくとクリックした点と点の間の色の違いを判断して線にしてくれる。各点は後でドラッグして動かしたり,点と点の間にもう一つ点を増やしたりできる。線を閉じて領域内をクリックするとその部分が選択領域になる。⇨電脳ばさみを使ってみる
前景部分選択ツールで選択して消去
大まかに範囲を選んでおき,その中で選択したいものを含む部分をドラッグするとそれと似た色の部分を選択してくれます。選択したいものを含む部分のドラッグは様子を見ながら追加してゆけますし,[Ctrl]を押しながらで削除もできます。最後に[Enter]キーで選択領域が確定します。

レイヤーマスクを使う

覚えることは少し多くなりますが、レイヤーマスクはなかなか便利です。

元の画像です


このレイヤーにマスクを作ります


レイヤーマスクを黒くしたところは画像が透明になります。

いったん黒く塗っても白く塗りなおせば画像がふたたび見えるようになります。

⇨レイヤーマスクを使ってみる


消去の完了

メニューから[編集]-[消去](キーボードからはdelete),または[編集]-[切り取り]([Ctrl]+[x])で選択部分を削除します。(この2つの違いは後で貼り付けできるかできないか)

削除後残った点線の枠は選択領域ではなく,レイヤーの境界(つまり透明な紙がそこまでしかない)です。


レイヤーの境界はそのレイヤーを編集中に見えているだけですから問題ないのですが,今回はその境界上の作業もあるのでこれを拡げておきましょう。

メニューから [レイヤー] - [レイヤーを画像サイズに合わせる] とすれば,簡単です。


山以外の消去が完成です。


色を合わせ,境界処理

色カーブなどを使って山のレイヤーごと色を変えます。右側の道路の先に本物の山が青く見えます。この色と同じようにすれば自然でしょう。赤を押さえ青を強くすればこうなります。


表示倍率を上げて山の端をチェックします。右下の部分が本来手前にあるはずの丘を隠してしまっています。


消しゴムで消しました。


どんなにはっきり写っていると見えるものでも拡大すると境界がぼけているものです。山と空,山と海の境界がはっきりしすぎると違和感が出ますから,ぼかしツールでなじませます。これも右にある本物の山程度にするのがいいでしょう。図は説明のため強めにぼかしています。赤い矢印の右がぼかした後,左がぼかす前の状態です。

周り全部をやります。切り取る時にすでにぼかしておくということもできます。


完成

完成です。


課題 ファイル名は gousei.xcf

下の元絵を使って上記の合成をやってみなさい。岩木山の写真は前のページのものと同じである。コンピュータの性能により動作が遅い場合は小型セットを使うこと。

元絵

大型セット

3008x2000
2048x1536

小型セット

1248x830
850x638

Gimpを使った画像処理(Sep.2011)
聖愛中学高等学校
http://www.seiai.ed.jp/
Jul.2009 初稿