JIS X 0213:2000 を改定して JIS X 0213:2004 にしたときに、国語審議会の答申「表外漢字字体表」に合わせて例示字形を変更しました。もともと文字コードは文字の符号化表現を定めるものであり、字体を定めるものではないとされていますが、事実上これに基づいていましたのでこの変更の影響は大きいものでした。
葛など168字が変更された。
逢 芦 飴 溢 茨 鰯 淫 迂 厩 噂 餌 襖 迦 牙 廻 恢 晦 蟹 葛 鞄 釜 翰 翫 徽 祇 汲 灸 笈 卿 饗 僅 喰 櫛 屑 粂 祁 隙 倦 捲 牽 鍵 諺 巷 梗 膏 鵠 甑 叉 榊 薩 鯖 錆 鮫 餐 杓 灼 酋 楯 薯 藷 哨 鞘 杖 蝕 訊 逗 摺 撰 煎 煽 穿 箭 詮 噌 遡 揃 遜 腿 蛸 辿 樽 歎 註 瀦 捗 槌 鎚 辻 挺 鄭 擢 溺 兎 堵 屠 賭 瀞 遁 謎 灘 楢 禰 牌 這 秤 駁 箸 叛 挽 誹 樋 稗 逼 謬 豹 廟 瀕 斧 蔽 瞥 蔑 篇 娩 鞭 庖 蓬 鱒 迄 儲 餅 籾 爺 鑓 愈 猷 漣 煉 簾 榔 屢 冤 叟 咬 嘲 囀 徘 扁 棘 橙 狡 甕 甦 疼 祟 竈 筵 篝 腱 艘 芒 虔 蜃 蠅 訝 靄 靱 騙 鴉
以下は168から40程度を変更例として画像で示したもの。大体の傾向をつかむために多めにしています。「ブラウザ」はこのページを見ているブラウザが使っている字体です。環境により「旧」と同じ場合と「新」と同じ場合があります。
旧(2000) | 新(2004) | ブラウザ | 面区点 | Unicode | UTF-8 |
---|---|---|---|---|---|
葛 | 1-19-75 | 845b | e8919b | ||
酋 | 1-29-22 | 914b | e9858b | ||
樽 | 1-35-14 | 6a3d | e6a8bd | ||
噌 | 1-33-25 | 564c | e5998c | ||
煉 | 1-46-91 | 7149 | e78589 | ||
祇 | 1-2132 | 7947 | e7a587 | ||
榊 | 1-26-71 | 698a | e6a68a | ||
禰 | 1-39-09 | 79b0 | e7a6b0 | ||
諺 | 1-24-33 | 8afa | e8abba | ||
薩 | 1-27-07 | 85a9 | e896a9 | ||
飴 | 1-16-27 | 98f4 | e9a3b4 | ||
餌 | 1-17-34 | 990c | e9a48c | ||
櫛 | 1-22-91 | 6adb | e6ab9b | ||
饗 | 1-22-34 | 9957 | e9a597 | ||
餐 | 1-27-33 | 9910 | e9a490 | ||
牙 | 1-18-71 | 7259 | e78999 | ||
穿 | 1-32-92 | 7a7f | e7a9bf | ||
鞄 | 1-19-83 | 9784 | e99e84 | ||
巷 | 1-25-11 | 5df7 | e5b7b7 | ||
屑 | 1-22-93 | 5c51 | e5b191 | ||
哨 | 1-30-05 | 54e8 | e593a8 | ||
秤 | 1-39-73 | 79e4 | e7a7a4 | ||
錆 | 1-27-12 | 9306 | e98c86 | ||
瀞 | 1-38-52 | 701e | e7809e | ||
薯 | 1-29-82 | 85af | e896af | ||
屠 | 1-37-43 | 5c60 | e5b1a0 | ||
箸 | 1-40-04 | 7bb8 | e7aeb8 | ||
揃 | 1-34-23 | 63c3 | e68f83 | ||
嘲 | 1-51-62 | 5632 | e598b2 | ||
廟 | 1-41-32 | 5edf | e5bb9f | ||
擢 | 1-37-07 | 64e2 | e693a2 | ||
溺 | 1-37-14 | 6eba | e6baba | ||
謬 | 1-41-21 | 8b2c | e8acac | ||
捗 | 1-36-29 | 6357 | e68d97 | ||
瀕 | 1-41-46 | 7015 | e78095 | ||
辻 | 1-36-52 | 8fbb | e8bebb | ||
迄 | 1-43-88 | 8fc4 | e8bf84 | ||
芦 | 1-16-18 | 82a6 | e88aa6 | ||
晦 | 1-19-02 | 6666 | e699a6 | ||
隙 | 1-23-68 | 9699 | e99a99 | ||
亡 | 1-43-20 | 4ea1 | e4baa1 |
剥など10字が追加されました。Unicodeにすでに別の符号が与えられていたたので元の字をそのままにして JIS X0213 に新たに追加しUnicodeと1対1で対応するようにしました。
倶 剥 叱 呑 嘘 妍 屏 并 痩 繋(従来の文字)
俱 剝 𠮟 吞 噓 姸 屛 幷 瘦 繫(追加された10文字)
追加された文字と従来の文字の例。10のうち3つを示しました。「ブラウザ」はこのページを見ているブラウザが使っている字体です。
旧(2000) | 新(2004) | ブラウザ | 面区点 | Unicode | UTF-8 |
---|---|---|---|---|---|
剥 | 1-39-77 | U+5265 | E5 89 A5 | ||
剝 | 1-15-94 | U+525D | E5 89 9D | ||
嘘 | 1-17-19 | U+5618 | E5 98 98 | ||
噓 | 1-84-7 | U+5653 | E5 99 93 | ||
叱 | 1-28-24 | U+53F1 | E5 8F B1 | ||
𠮟 | 1-47-52 | U+20B9F | F0 A0 AE 9F |
字の形が違っても「同じ字」とすることを「包摂」といいます。JIS X 0213では包摂規準の適用から除外されて別の文字コードが割り当てられ書き分けが可能になったものがあります。
たとえば、崎と﨑は JIS X 0208 では包摂により同じ字とされていました。しかし区別して使いたいという要求が大きくWindows31Jでは﨑を加えてついました。でもコンピュータが異なると正しい字にならない機種依存文字でした。JIS X 0213 で新たに追加され晴れて使えるようになりましたが、Windows31Jとは登録位置が異なりますので注意が必要です。
﨑 の他にも高と髙、吉と𠮷のかき分けをしたいという要望が多く3大人名用漢字と言われてきましたが、今回ひとつだけ認められて追加されたということです。
文字 | ブラウザ | 説明 | JIS X0208 | Windows31J | JIS X0213 | Unicode | UTF-8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
崎 | 大 | 26-74 | 26-74 | 1-26-74 | U+5D0E | E5 B4 8E | |
﨑 | 立 | (89-85) 116-19 |
1-47-82 | U+FA11 | EF A8 91 | ||
高 | 口 | 25-66 | 25-66 | 1-25-66 | U+9AD8 | E9 AB 98 | |
髙 | 甘 | (92-66) 118-94 |
U+9AD9 | E9 AB 99 | |||
吉 | 士 | 21-40 | 21-40 | 1-21-40 | U+5409 | E5 90 89 | |
𠮷 | 土 | U+20BB7 | F0 A0 AE B7 |
JIS X 0208-1978(当時の番号でJIS C 6226-1978)が1983年に改訂され、JIS X 0208-1983(JIS C 6226-1983)となった時に問題となった文字の入れ替え。
尭 堯 槙 槇 遥 遙 瑶 瑤
鯵 鰺 鴬 鶯 蛎 蠣 撹 攪 竃 竈 潅 灌 諌 諫 頚 頸 砿 礦 蕊 蘂 靭 靱 賎 賤 壷 壺 砺 礪 梼 檮 涛 濤 迩 邇 蝿 蠅 桧 檜 侭 儘 薮 藪 篭 籠
このうち1997年の新規格において変更前後の文字は包摂関係にない(別字体である)とされたのは次の29字
唖 焔 鴎 噛 侠 躯 鹸 麹 屡 繍 蒋 醤 蝉 掻 騨 箪 掴 填 顛 祷 涜 嚢 溌 醗 頬 麺 莱 蝋 攅
この29字の元の字は次の通り。 JIS X 2013 で別の区点に改めて登録された。
啞 焰 鷗 嚙 俠 軀 鹼 麴 屢 繡 蔣 醬 蟬 搔 驒 簞 摑 塡 顚 禱 瀆 囊 潑 醱 頰 麵 萊 蠟 攢
区点 | 78JIS | 83JIS | 説明 |
---|---|---|---|
22-38 | 堯 | 尭 | 略字に変更して本字は別の区点に追加 |
84-01 | |||
43-74 | 略字に変更して本字は別の区点に追加 | ||
84-02 | |||
20-35 | 略字と本字を交換 | ||
62-85 | 略字と本字を交換 | ||
18-10 | 略字に変更して本字は登録しない。森鷗外と書けなくなった。 | ||
45-78 | 略字に変更して本字は登録しない。祈禱が祈祷になった。 |
JIS X 0213 では 鷗は 1-94-69 に、禱は 1-89-35 に登録されている。
聖愛中学高等学校