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モノクロは白黒二値ではない

「モノクロ画像の表現」

実教出版「最新情報の科学」の「モノクロ画像の表現」という節があり、次のように記述されています。

モノクロ画像は1画素を白と黒の2階調(1ビット)で表現した画像である。

そして、続けて、

なお、灰色を含んだ画素の濃淡によって表現する方法はグレースケールといい、...

とあります。

モノクロ画像の種類

モノクロは、モノクローム(monochrome)の略。単色ということなので、階調については曖昧。もちろん2階調でもよいし、グレースケールでもよい。

社会通念上も次のような分類で間違い無いと思います。「白黒2値」については名前としては広く使われているとは思いませんが、グレースケールは広く使われています。そして単に白黒画像といえば、グレースケールを指すことが多いのではないでしょうか。モノクロ写真、モノクロ映画などで2値画像を思い浮かべることはないでしょう。

白黒のモノクロ画像の分類

名称 説明 サンプル画像
モノクロ画像 白黒2値 白か黒かの2階調。1画素を1ビットで表現できる
グレースケール 白から黒までを何段階かの灰色で表す画像
1画素を8ビットで表現する256階調を使うことが多い

モノクロ画像は白黒か

モノクローム(monochrome)の略。元々の意味は単色で黒とは限らない。モノクロのクロは黒ではない。

コンピュータでも一昔前はカラーでないディスプレイがあったが、緑の文字や黄色い文字のモノクロディスプレイもあった。

モノクロの多くは白黒を指すが、セピア色の写真を見せられれば、「白黒でないからモノクロ写真ではない」とは言わないだろう。

上にあげたモノクロ作品、モノクロ製品は多くの場合、2階調ではない。白黒なら白-灰-黒、セピアなら白-薄いセピア-濃いセピア などの中間の明るさがあるものが普通である。これをグレースケールと呼んでいいかは微妙である。グレーという言葉を文字通り灰色とするなら正しくないことになる。しかし、単色多階調画像という意味でグレースケールと呼ぶことはありだろうと思う。

とりあえず、教科書の「モノクロ画像は白と黒の2階調で表現したものである」という説明は「白と黒」の部分も、「2階調」も正しくない。

より正確には

上の表では白黒を使って説明していますが、モノクロは単色で黒とは限らないこと、古くからある階調のある単色画像が256階調とは限らないことを考慮してより正確に分類するなら、次のようになるでしょうか。

モノクロ画像 単色2値画像白黒など2階調で表現される単色画像
多階調単色画像グレースケールなど明るさの異なる単色で表現される画像

わかりにくいので、白黒2値画像とグレースケールで説明し、色は単色であれば良いこと階調は256と限らないことを加えた。

新課程「情報の科学」の教科書の表記の比較

出版社 記号番号 書名 教科書内の記述
東京書籍 情科301 情報の科学 階調の説明で1ビットなら白黒の2階調、8ビットであれば28=256階調で画像が表現される。とだけ本文にあり、白黒はここだけ。グレースケールという言葉は出てこない。
実教出版 情科302 最新情報の科学 上記
実教出版 情科303 情報の科学 カラーのみの説明で、モノクロは扱わない。
数研出版 情科304 高等学校情報の科学 本文にRGBで表すカラー画像以外にも、2値画像やグレースケールといった表現方法もある。と書かれていて、別表に画像例と説明がある。白黒、白から黒までの階調という書き方だが、グレースケールが256階調に決まっているという書き方はしていない。
日本文教出版 情科305 情報の科学 本文で階調の説明のところで「モノクロ画像の場合を考えてみよう」で始まる説明で2階調は1ピクセルが白黒のどちらかなので1ビットで表現でき、8ビットでは256階調の表現ができると説明している。グレースケールは傍注に白黒の濃淡で表現することと説明がある。。

教科書の表で302,303の記述が逆でした。現在は直っています

聖愛中学高等学校
安達順一
http://www.seiai.ed.jp/
2013-11-18