ワードプロセッサ(OpenOffice.org-Calc)

接頭辞

記号 読み方 倍数(指数で) 倍数(指数を使わずに)
k キロ 103 1000
m ミリ 10-3 1/1000
μ マイクロ 10-6 1/1000000
n ナノ 10-9 1/1000000000

シーベルトとグレイ

日本原燃のウェブページによると 1Gy/h=0.8Sv/h と説明しています。

ただし、通報基準のページに「通常は 1Gy/h=0.8Sv/h で換算しますが、緊急時は 1Gy=1Sv と換算して、迅速な対応をすることにしています。」とあります。

OpenOffice.orgの保存するファイルの形式はODFです。ODFは、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)により、国際標準(ISO/IEC 26300)として認定され、日本でもJIS X 4401:2010として規格化されています。ソフトウェアの種類やコンピューターの機種に関わらず、異なるアプリケーション間で文書を交換でき、またデータを同じように編集、表示、印刷することができるようになりました。

http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/index.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305173.htm
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1305946.htm
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/11/1305089_1.pdf

生活と原子力04  法律とその基準

生活と原子力04  法律とその基準

(詳しく知りたい人に)

少し落ち着いたら放射線の被曝の基準について、法律という面から整理をしようと思っていましたけれども、なかなか福島原発が落ち着かないので、放射線の被曝についての法律の話をしておきたいと思います。

放射線の被曝に関する基本的な日本の法律は、「原子力基本法」です。昭和30年にでき、最後の改正が行われたのは平成16年です。

第1条の目的には、「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする」とあります。

きちんと書いてある目的の条文ですが、どちらかというと原子力を利用する側に重点が置かれているような気もします。

また、放射線による障害の防止として、第20条に「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める」とあります。

この法律を受けて、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」という やや長い名前のついた法律があり、昭和32年に制定され、最終の改正は平成22年5月です。つまり昨年の5月に最終的な改訂が行われています。

この法律は基本的なことが書かれていますが、あまり数量的なことは示されていません。この法律のもとにさらに「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令」、「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則」、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件」があります。

名前を見るだけで嫌になってしまうような長い名前の法律や規則です。数量を決めるのは最後のもので、ここには後に整理をする厚生労働省と同じ数値が乗っていますが、ただ、排水、排気の基準のところに、規則第19条があり、線量限度として「1年間に1ミリシーベルト」とあります。これが「公衆が安全な線量」とされています.

条文に明記されていないのは、「公衆の限度を越える事態」そのものの概念がないからです.つまり人工的に放射線や放射性物質を出す場合は、「意図を持って出す」のであって、福島原発のように「制御できずに出す」という事はないと錯覚しているからです.

さいす

でも、公衆の被曝限度が1ミリシーベルト(年)なので、最終的にはこの数字がチラチラと出てきます.

・・・・・・・・・

次に、厚生労働省の管轄である「労働者の保護」を目的とした放射線障害防止規則を説明しておきたいと思います。

文部科学省の法律と厚生労働省の法律は同じ日本国のものですから、わずかなところは違いますが基本的には同じ構造と数値でできています。

厚生労働省の法律では、「労働安全衛生法」がまずあり、その下に「労働安全衛生法施行令」があり、さらにその下に「電力放射線障害防止規則」があります。この規則は、昭和47年に制定され、最後の改正は、平成23年1月ですから、今年の1月に最終的な改正が行われています。

この規則は、労働者を被爆から守るわけですから第1条の目的には、「事業者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」とあります。

しかし、他の法律で決められている数値も同じです.それは労働者と一般人は同じ人間だからです。

規則の構造を説明しながら数値を示していきます。

まず重要なのは「管理区域」の概念です。つまり放射線の被曝を減らすためには、日本中どこでもかしこでも注意するわけにいかないので、ある放射線を超えるところだけ「管理区域」として決めるという考え方です。つまり、第三条では、

一  外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が
     三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域

二  放射性物質の表面密度が別表第三に掲げる限度の十分の一を超えるおそれのある区域

となっています。

まず、最初の数値は3ヶ月で1.3ミリシーベルトですから、福島原発でマスメディアが使った1時間あたりの放射線量で言えば、0.6マイクロシーベルトになります。

福島原発から放射線が漏れ福島市の1時間あたりの放射線量が20マイクロシーベルトになったときに、わたくしはびっくりしました。

私が放射線と健康についてどう考えているかどうかは別にして、法律で管理区域が0.6マイクロシーベルと以上となっているときに、その30倍もの放射線量が、普通のところ=福島市全体、におよんだのです。

私は、福島市長が直ちに福島市を管理区域にして市民を守ると思っていましたが、事態はは全く逆になり、またびっくりしました。

また、表面汚染ですが、ここで言っている別表第3には、「アルファ線を出すもの:1平方センチメートルあたり4ベクレル.アルファ線を出さないもの40ベクレル」とされています。

3月31日、IAEAが飯舘村の土壌表面で1平方メートルあたり200万ベクレルを観測しましたが、1平方メートルは1万平方センチメートルですから、別表第3の単位では200ベクレルになり、これも管理区域の指定が必要です.

・・・・・・・・・

管理区域の設定が終わると、

1)   仕事の男性   年間20ミリ(1時間2.3マイクロ)

2)   仕事の女性   3ヶ月5ミリ(1時間2.3マイクロ)

3)   妊婦(内部)  妊娠中1ミリ(1時間0.2マイクロ)

です。労働者を対象としているので、一般公衆を明記していないが、一般公衆には妊婦もいるので、おおよそ1年1ミリシーベルトに合わせてあります.

・・・・・・・・・

最後にICRP(国際放射線防護委員会)との関係について整理をしておきます.

ICRPは1990年に一般公衆の線量限度を1ミリシーベルト(年)と勧告をしました。これについて、日本の国内法にどのように盛り込むかについて、審議委員会は次のように要望を出しています.

「現行の施設基準を変えない事とし、管理区域の外側の一般人の被ばく線量が1年当たり1mSvを越えないよう管理を行う。、

・現状の各施設における管理区域境界での線量の実測値と管理区域外側の一般人の滞在時間を考慮すると大部分の施設は年間1mSvを超えない。

・したがって「施設基準は現行もままとし、管理区域外側の一般人の滞在時間等を考慮し年1mSvを超える場合には『特別に管理する区域』を設けることによって、基本部会案と同等の安全対策を取ることが出来る。」と考えられる。

・管理区域境界において線量を連続モニタリングし、実測値を短時間例えば1ヶ月毎に点検することにより、状況に応じて管理区域の外側にさらに特別に管理する区域を設定すること等によって一般人の被ばく線量が年当たり1mSvを越えないようにすることは容易であると考えられる。」

つまり、直ちに明文化するのではなく、実質的に1ミリシーベルトを越える怖れのあるところを注意していきたいということです。

1990年勧告を受けて、放射線の専門家はみんな1ミリシーベルトで動いていたのに、福島原発で真逆のことを言われたので、私はビックリしました。

なお、政府の原子力データの管理機関「高度情報科学技術研究機構」では、そのホームページに、

「線量目標値は、日本の原子力発電の主流を占めている発電用軽水炉について、ICRP(国際放射線防護委員会)のALARA(合理的に達成可能な低減)の精神にしたがって、放出放射性物質による周辺公衆の被ばく線量を合理的に達成できる限り低く保つための設計及び運転管理の目標として、定められた(原子力安全審査指針)ものである。

その値は、実効線量当量で、年間50μSvで、一般公衆に対する線量限度の1/20で、地域による自然放射線からの線量当量の変動の巾より小さい。実効線量当量は、気体廃棄物中の希ガスによる外部被ばく、ヨウ素の摂取による内部被ばく、液体廃棄物に起因する海産物摂取による内部被ばくの合計で評価する。」

とあり、一般公衆の線量限度が1年で1ミリシーベルトであること、普段は1年間でその20分の1の50マイクロシーベルトを目標にすることが明記されています.

ICRPは「線量限度」(我慢できる限度)を1ミリシーベルトにして、原子力関係者に「努力目標」を求め、それが日本では50マイクロシーベルト(年)でした。

福島原発の最初のころ、1ミリシーベルトを「単なる目標値」と発言した専門家は深く反省してください。

(平成23年4月5日 午前9時 執筆) 武田邦彦

生活と原子力05

生活と原子力05  放射線と人間の細胞(その2) どのぐらいまで安全か?

メールでご質問を受ける多くの方の関心は、「どのくらいまで放射線を浴びても大丈夫だろうか」、「関西にもかなり長くなったので、いつ頃帰ったらいいだろうか」というのが多いようです。

被曝量は一応計算しても、それがどのくらい自分や自分の子供に影響があるかがはっきりわからないと決断ができないからです。

申しわけないのですが、お1人お1人の被曝量を計算して大丈夫かどうかアドバイスをすることが時間的にできなくなりましたので、できるだけわかりやすく、現状を踏まえてここでご説明します。

・・・・・・・・・

混乱の第一は、政府の発表がムチャクチャだったことです。

それはもう忘れていいのですが、わたくしたちの心の中に引っかかっているので、一応、復習しておきます。政府などの発表は、

「基準値の1ミリシーベルトは単なる基準値で健康には関係がない。100ミリシーベルトまで大丈夫である。」

「100ミリシーベルトを浴びても、1000人に5人ががんになるだけである。」

「基準値の3355倍でも直ちに健康に影響を与える数値ではない」(その後、発電所からの排水は基準値の1億倍までなりました。)

などです。

これらの政府や専門家の発言が矛盾していることは放射線と健康の関係を知らない人でもわかるので不安に陥るのを当たり前のことです。

そこで、一旦すべてを忘れて基礎から整理をしたいと思います。

・・・・・・・・・

頭に入れとかなければならないのは、次の数値とその意味です。

1) 1年間に50マイクロシーベルト

極端に低い数字ですが、これもはっきりとした根拠があります。例えば、今まで日本の原子力発電所が発電所の敷地との境界ではこのくらいまで下げておこうと政府、電力会社、そして専門家が言っていた数字です。

また、ヨーロッパの環境運動家を中心としたグループは国際委員会の基準は甘いとして、おおよそこの程度の数字を出しています。 つまり「絶対に安全」といえば、1年間に50マイクロシーベルトという数字もあるのですが、日本に住んでいると自然放射線でも、この20倍以上ですからやはり少し神経質すぎると言ってもいいと思います。

2) 次の数字は、1年間に1ミリシーベルトという数字です。

この数字は国際委員会や日本の法律等で定められているものですから、基本的にはこの数字が一つの指標になります。

この数字を少し超す場所(5ミリ)は「管理区域」という名前で普通のところ特別されて標識が立ち、そこに人が入ってはいけないというわけではないのですが、被曝する放射線量を測り、健康診断をするという必要が生じてきます。

つまり絶対に病気になるということはないけれども、注意をしなければならないということを意味しています。管理区域は1時間あたり0.6マイクロですから、現在、福島県東部(郡山を含み、会津若松を除く)、茨城県北部などは確実にこの管理区域に入ります。従って、政府のいうように直ちに健康に影響はありませんが、やはり被爆する線量を測定したり、健康診断をして注意をするという必要があるところです。

また、教育委員会や市役所等は、政府がいくら安全だと言っても、政府と独立しているのですから、法律的に管理区域に指定しなければならない状態のときには法律に従う必要があるとわたくしは考えています。

具体的には、1時間に0.6マイクロを越えるところは、学校でも市の一部でも責任者が「管理区域」に設定するべきです.

3) 次に1年に20ミリシーベルトというレベルがあります。

現在の福島市がややそれに近いのですが、これは仕事で放射線に携わる男性の1年間の限界です。

仕事で放射線に携わる人も一般の人も、人間は人間ですから、放射線に対して同じ危険性を持っています。それなのに一般の人は1.0、職業であびる人は20というのは基準が開きすぎているように感じると思います。

しかしそれには三つの理由があります。

一つは、放射線の仕事に携わる人は、被爆した量をしっかり測り健康診断をしますから、万が一のときにはチェックができるということです。

二つ目に、放射線の仕事に携わる人は、健康な成人男子ですから、一般の人のように赤ちゃんとか妊婦、また放射線に感度の強い人等が含まれていないということがあります。放射線に携わる人でも妊娠している女性等は特別な規定で保護されています。

三つ目に、自分の意思で放射線を浴びるか、それとも事故等で自分の意思とは関係なく放射線を浴びる場合と、差をつけるのが、防災の基本的な原則でもあります。

例えば、ハンググライダー等は非常に危険なのですが、無理やりハンググライダーをやらされるのではなく、自分の意思でハンググライダーをやるので、その危険も認められています。

4) 次に、50ミリシーベルトという基準があります。

このぐらいになると、少し健康障害の恐れが出てきますので、例えば50になると子供は甲状腺がんを防ぐために、ヨウ素剤を服用する必要が出てきます。

5) 100ミリになると、慢性的な疾患が見られるようになり、1000人に5人が放射線によってガンになるという数値になります。

ここでいうガンとは、専門用語では「過剰発癌」と言って、普通の生活でがんになるものを除いて放射線によってそれにプラスされる危険性を言っています。

長崎大学の先生を中心にして1000人に5人ぐらいの過剰発癌は問題がないという考えがあるのは確かです。現在の福島市は、自治体としてこの考えをとっているようです。

なおこれまで非常時の作業で被曝する限界は100でした。つまり「非常時に厳重な防護服を着て、線量計を着け、管理された状態で100ミリ」というのですから、それを一般市民に当てはめるのは乱暴だと私は思います。

6) 次に250ミリシーベルトというレベルがあります。

このレベルは最近になって福島原発の作業する人の限界値になったものです(引き上げられた)。100と250の何が違うかというと、100まではガンなどの「すぐにはでない健康障害」を念頭に置いているのですが、250になると「急性の白血球減少」等の「直ちに影響が見られる」レベルになります。

政府が「直ちに健康に影響がない」と繰り返しましたが、それはこの250を念頭に置いています。つまり、政府が言っている「直ちに」ということは「ガンにはなるが、急性の白血球の減少は見られない」レベルであるということになります。

このように考えますと、人によって感覚が違うので、どのレベルが「正しいレベルである」ということは必ずしも言えないことがわかります。

心配する人は、あるいは50マイクロでも余計な放射線を浴びたくないと思う人もいるでしょう。また楽観的な人は「1000人に5人ぐらいのガン」なら大したことがないと思うでしょう。またお母さんで、「自分は良いけれども、赤ちゃんにはそんな思いをさせたくない」という人もいるでしょう。

だから、テレビの専門家が言っていたように「わたくしは平気だ」等と言っても、それはその人個人の思想であって、多くの人がどのくらいを注意しなければならないのかという問題とは全く関係がないのです。

・・・・・・・・・

わたくしは次のように考えました。

今回の福島原発から出た放射性物質は、今まで人間が経験したうちの最も多いレベルですから、わたくしたちの次世代を担う赤ちゃんに影響をおよぼしてはいけないと考えました。

そうすると、最も信頼性のある値は「1年に1ミリ」であり、それ以下なら「安心」、それ以上なら「注意」とはっきりと意識したほうがいいと思います。

これはわたくし個人の意見ではなく、国際委員会の勧告や日本の法律に明記されていることでもあります。

・・・・・・・・・

重要なことを繰り返します。

「1年に1ミリ以内なら安心」ですから、その範囲なら心配する必要はありません。わたくしのブログの読者の中で1年に1ミリ以内でも心配されている方がおられますが、わたくしは1年に1ミリ以内なら心配をする必要がないと言ってあげたいと思います。

問題は、「1年に1ミリ以上で、20ミリ以下という被爆を受ける可能性がある人」です。この領域に入る場合には、「注意」しなければなりません。

この注意というのは具体的に何かというと、「赤ちゃんや妊婦の場合にはできるだけ移動して被曝を避ける」ということです。もちろん個人的に事情がありますから、なかなか難しい場合にはマスクをするとか、食材に気をつける等できるだけ万全を期さなければいけないと考えています。

最近、体内の放射性物質を除くとか、特別なことが言われていますが、わたくしはあまり信用していません。もしそのような方法があるのならば、ヨウ素剤以外にもいろいろな防御手段がこれまでも提案されているはずだからです。

成人男子で元気な人は、管理区域が1年で約5ミリという数値を参考にして、少し健康に気をつける程度で良いでしょう。また女性の場合はいろいろな事情があるので1から10程度の範囲であれば、「できるだけ気をつける」ということになると思います。

わたくしは最初の頃、「とにかく逃げた方がいい」と言いました。これはわたくしの考えではなく、放射性物質からの防御に対する基本的な考えの一つです。

何か事故があると、最初の放射線がもっとも強いので、それを避ければ、だんだん弱くなります.今度の場合、3月12日の週がもっとも放射線量が多かったので、とにかくその時期は「逃げろ!」ということなのです。

経済的な負担などがありますが、逃げておけば安心ですし、「年間の被曝量」は決まっていますから、最初に被曝しなければ、後で余裕がでます。

また、野菜、水、さらに魚などは、最初の時期の汚染が「拡がってから」になりますから、2週間とか1ヶ月が注意のしどころです。

・・・・・・・・・

このようなことを考えますと、

1) 最初に逃げる時期は終わりつつある(福島原発は、これまでのチェルノブイリなどと違い、まだ少しずつ放射性物質がでているので「できれば連休明け」ということになります)。

2) 野菜、水も少しずつ安全になってきている。ただし魚はこれから。また、西日本にも徐々に拡がるが、汚染のレベルは数ミリを超える事はない。

3) 今後は「汚染された土地で農業や酪農ができるか」、「最初に被曝した人は、それを背負って1年間の被曝を考える」、「魚を買えなくなる時期が本当に来るのか」などが問題になってきます。

・・・・・・・・・

ところで、読者の方からの情報によると、福島県は、

「○飯舘村(飯舘村役場)平常値:-測定値:6.14マイクロシーベルトで、 胃のX線集団検診1回当たりの放射線量は、600マイクロシーベルト/回ですが、本日の測定値のうち、最も高い飯舘村の測定値は、これを十分下回っており、健康に影響ないレベルと考えられます。」

と(厳しい言い方では)犯罪にもなることをホームページに掲載しているそうです。

1時間あたり6.14マイクロシーベルトとは、すでに事故から1ヶ月程度になりましたので、1ヶ月で4.4ミリですから、胃のレントゲン7回分です。しかも赤ちゃんや妊婦が「腹部の防御もなく」です。

さらに一年では54ミリになりますから、これは「ヨウ素剤服用」のレベルです。「安全」ではなく「危険」です。福島市は直ちに管理区域に指定して県民を保護すべきです。

また横浜市は放射線物質の少ないとされる海の傍の地上から離れたところで測定しているようですが、やはり多くの人がそのまま参考になるような場所で測定するか、その旨を記載しておく必要があるでしょう。

自治体は市民の命を守るのですから、「放射線物質を少なく見せて、仕事を減らそう」などと考えずに、「やや放射線量の多い低い屋外で測定する」ということを御願いしたいと思います

.

(平成23年4月6日 午前9時 執筆)

(なお、携帯でご覧になっている人から「全角の数字でないとみずらい」とのご指摘があり、全角で書いてみました。

武田邦彦

1ミリと20ミリ・・・ICRPは何を言っているのか?

1ミリと20ミリ・・・ICRPは何を言っているのか?

内閣補佐官の辞任に端を発して文部科学省が決めた「1年に20ミリシーベルトまで被曝量の限度を上げて学校を運営する」ということが話題になっています。

このことについて少し深く考えてみます。

・・・

まず第1に、当たり前のことですが、緊急時が発生したからといって人間が放射線に対して防御力が急に高くなるわけではありません。

ICRPの勧告にはっきり書いてありますが、低線量率の確率的影響のリスク係数は、ガンと遺伝的影響の合計で、1000人に5.7人、成人は4.2人としていて、明示されていませんが、20才以下の人のリスク係数は8.7人で、成人の約2倍になっています。

私が「1年1ミリ」と言っているので、「20ミリでも安全とICRPが言っているじゃないか!」と批判している人がいるのですが、「よくICRPの勧告を読んでください」と言いたくなります。

繰り返しますが、緊急時になったからといって人間が放射線に対して強くなったわけではないのです。

従って、緊急時だから1年1ミリが1年20ミリになるということはありません。1年20ミリなればそれだけのことが起こります。

・・・・・・・・・

それでは IC RP は「緊急時」をどのように考えているのでしょうか。

まずICRPは「緊急時の被曝」として、

「計画された状況において、悪意のある行動及び予測しない状況から発生する好ましくない結果を回避又は減少するための緊急の対策を必要とする状況」 とあり、つまり、「計画時」とは違う状況が発生したときに、緊急の対策を必要とする状況を言っています。

「計画時」というのは、例えば原発が順調に動いているとか、外国から核攻撃を受けてない平和な状態を指しています。

これに対して緊急時とは、テロとか外国からの核攻撃、あるいは原発の爆発等によって大量の放射線がまき散らされたような状態を想定しています。

・・・

そして、1年1ミリシーベルトという基準の意味は、

「計画被ばく状況に適用され、被ばくした個人に直接的な利益はないが、社会にとって利益があるかもしれない状況」

とあり、少し難しいのですが、次のような概念です.

ICRPは「人間は自然放射線以外の放射線に被曝されると、何がしか健康に被害を受ける、しかし放射線の利用は人間にとって様々な利益をもたらすので、被曝限界を定めてそこまでは我慢しよう」という考え方です。

この考え方は、自動車等交通事故の考え方に似ていて、自動車で交通事故にあうのは良くないことだけれども、一方では自動車の利便性を考慮して我慢しようという考え方です。

そしてその限界を「1億人に1年に約5000人のがんと遺伝障害の発生」を限度とすると言うことです。

・・・

それでは、なぜICRPは「緊急時は1ミリから20ミリの範囲で良い」としたのだろうか? 日本は曖昧だから、「理由は知らないけれど、20ミリと決めたんだ」で良いが、国際的にはそれでは納得性がない。

そこで、
「個人が直接、利益を受ける状況に適用(例:計画被ばく状況の職業被ばく、異常に高い自然バックグラウンド放射線及び事故後の復旧段階の被ばくを含む)」

という理由を示している.

つまり、ICRPは「もともと放射線は害があるが、利益の分だけ我慢する」という思想だから、20ミリの場合も、「個人が直接、利益を受ける状況に適用」としている。1ミリと20ミリのICRPの表現を並べてみる。

・・・

1ミリ:被ばくした個人に直接的な利益はないが、社会にとって利益があるかもしれない状況

20ミリ:個人が直接、利益を受ける状況に適用

・・・

つまり、1ミリは「個人に直接的に利益がない」けれど我慢する範囲で、20ミリは「個人が直接的に利益がある」ということだ。

1ミリに比べて20ミリは、ガンの危険性が20倍になる.でも、それを越えるような「利益」が「個人」にあれば、政府は20ミリを認めて「国民を被曝の危険にさらすことができる」という理由になる。

このことが、日本ではほとんど言われていない。単に「緊急時だから我慢しろ」とだけだ。でも、ミスをしたのは東電と政府だから、それを「我慢しろ」と言われてもダメだ.

だから、政府は被曝限度を20ミリにあげるなら「個人が直接、利益を受ける状況」を作らなければならない。政府は殿様(万能)ではない.勝手に国民に不利を与えることはできないのだ。

(平成23年5月4日 午後9時 執筆)

武田邦彦


コンピュータの基礎(Apr.2011)
聖愛中学高等学校
http://www.seiai.ed.jp/