正式なコンピュータ名は所属するグループ内で個別につけられる「ホスト名」と、グループの名前である「ドメイン名」とをつなげたものですが、混乱があるようです。
説 | ホスト名 | . | ドメイン名 | いろいろな解釈の仕方 |
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(1) | www | . | seiai.ed.jp | ホスト名とドメイン名。ホスト名にドメイン名を加えてコンピュータを特定する。 |
(2) | www | . | seiai.ed.jp | 全体でドメイン名。ホスト名を含めてドメイン名とする。 |
(3) | www | . | seiai.ed.jp | 全体でホスト名。ドメイン名を加えて初めてインターネット内で使えるホスト名となる。 |
実教の教科書ではwww.kantei.go.jp全体をドメイン名としていますので(2)の説をとっています。
ドメインのもともとの意味は領地です。これは管理の単位です。jpという領地の中に、edという領地があり、seiaiという領地があります。wwwはひとつのコンピュータですから、領地ではありません。
各組織がドメインの登録をするのはseiaiの部分です。wwwはドメインとして登録しません。
URLでhttp://の後に来る部分をFQDNといいます。これは Fully Qualified Domain Name 日本語にすると完全修飾ドメイン名ですからドメイン名というのが正しいでしょう。
ホスト名はドメインの中で区別できる名前です。インターネット内で同名のホストがあるかもしれませんが、ドメイン名を加えることで区別することができます。人間も苗字と名前で正式名称になるようにコンピュータもドメインを含めてインターネットで通ずるホスト名となるのです。
(1)と(3)は矛盾しないでしょう。この例でいうと(2)は間違いのように思えます。ではなぜFDQNなのでしょうか。(3)のように考えるなら Fully Qualified Host Name と言いそうなものです。
では st.seiai.ed.jp はどうでしょう。これは seiai のサブドメインで、st はホスト名ではありません。 st.seiai.ed.jp はドメイン名ということです。授業のためのウェブページは www.st.seiai.ed.jp にありますが、wwwがホスト名です。
つまり、st.seiai.ed.jp などと書いてあっても、一番左の部分がホスト名でないことがあるという事です。
逆に本校のウェブページのURLは、www.seiai.ed.jp で始まりますが、seiai.ed.jp でも表示されます。この場合、seiai.ed.jp はドメイン名ですが、ホスト名でもあるということになります。ウェブページのデータはウェブサーバーに要求して得られるもので、サーバーはドメイン内のあるホストで働いているからです。
FQDNはDNS(Domain Name System)で使われる用語です。DNSはインターネット上のホスト名やドメイン名を、対応するIPアドレスに変換するシステムです。ブラウザがウェブページを見るためにDNSを使う場合、通信相手のウェブサーバーのIPアドレスが必要ですから、問い合わせるのはドメイン名ではなくホスト名でなければなりません。
そうであるのに、ドメイン名である seiai.ed.jp でもよいのは、www.seiai.ed.jp でも、seiai.ed.jp でもおなじIPアドレスを返すようにseiaiドメインのDNSが設定してあることによります。DNSは尋ねられたものがホスト名であろうとドメイン名であろうと対応するIPアドレスを返すだけです。
つまり、先頭がホスト名なのかどうかには関心はないということなのです。
FQDNのFullの意味は最後のトップレベルドメインまで省略せずに書いてあるということです。
このDNSの習慣が誤解されて、ホスト名もドメイン名の一部と解釈する見解が生まれたのではないでしょうか。